蜀犬 日に吠ゆ

2013-01-10

[][][]金剛杵(ヴァジュラ)(その2)~~上村勝彦『インド神話 マハーバーラタの神々』ちくま学芸文庫 19:25 はてなブックマーク - 金剛杵(ヴァジュラ)(その2)~~上村勝彦『インド神話 マハーバーラタの神々』ちくま学芸文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

 ヴァジュラの戦果

インド神話―マハーバーラタの神々 (ちくま学芸文庫)

インド神話―マハーバーラタの神々 (ちくま学芸文庫)

第二章 叙事詩の神話

第四話 海水を飲みほしたアガスティヤ仙

 インドラはダディーチャ仙の骨から造られた武器ヴァジュラを持ち、強力なる神々に守られて、天地をおおっているヴリトラを攻撃した。ヴリトラは巨体を持つ悪魔(カーレーヤあるいはカーラケーヤと呼ばれる)たちにとり囲まれている。かくて神軍と魔軍との熾烈な戦闘が始まり、悪魔たちは黄色い鎧を着け、鉄棒を振りかざし、山火事のように神々を襲った。

 神々はたまらず退却した。彼らが恐怖にかられ、またヴリトラがますます勢いづくのを見て、インドラは非常に意気沮喪した。それを知って、ヴィシュヌ神は自己の威光(テージャス)をインドラに注入して彼の力を増大させ、他の神々や聖仙たちもそれに倣って彼を力づけた。

 神の王が力を得たことを知ると、ヴリトラは大きな雄叫びを上げ、それによって全天地は振動した。それを聞いて大インドラは恐怖にかられ、あわててヴァジュラを放った。巨大なアスラ(ヴリトラ)はヴァジュラにうたれて大山のように倒れた。しかし、インドラはヴリトラが死んだにもかかわらず、恐怖にかられて湖水に飛びこもうとして走った。恐ろしさのあまり、彼はヴァジュラが自分の手を離れたことも、ヴリトラが死んだことも知らなかったのである。(『リグ・ヴェーダ』の偉大な戦士も、ここでは喜劇的な英雄として描かれている。)

上村勝彦『インド神話 マハーバーラタの神々』ちくま学芸文庫

 自動的に当たるのは、宝貝に似ていますね。マジック・アイテムって便利だなあ。





[][][]金剛杵(ヴァジュラ)~~上村勝彦『インド神話 マハーバーラタの神々』ちくま学芸文庫 19:25 はてなブックマーク - 金剛杵(ヴァジュラ)~~上村勝彦『インド神話 マハーバーラタの神々』ちくま学芸文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

 ヴァジュラの由来

インド神話―マハーバーラタの神々 (ちくま学芸文庫)

インド神話―マハーバーラタの神々 (ちくま学芸文庫)

第二章 叙事詩の神話

第三話 金剛杵(ヴァジュラ)の由来

 黄金時代(クリタ・ユガ)においても、獰猛な悪魔たちが跳梁していた。彼らはヴリトラを首領として、いたるところでインドラ(帝釈天)にひきいられた神々に襲いかかった。そこで神々はヴリトラを殺そうと計画し、インドラを先頭として梵天(ブラフマー)のところへ行って相談した。梵天は合掌している彼らに告げた。

「諸君の企てはすべてわかった。ヴリトラを殺す方法を教えよう。ダディーチャという偉大な聖仙がいる。皆で彼のもとに行き、望みをかなえてくれるように頼みなさい。敬虔な彼は喜んで望みをきいてくれるだろう。諸君は三界の安寧のために、彼に、骨を下さいと頼め。彼は身を捨てて、自分の骨をくれるであろう。その骨で、このうえなく恐ろしくて堅固なヴァジュラ(金剛杵)をつくれ。インドラはその武器でヴリトラを殺すであろう。私はすべてを語った。速やかに実行せよ。」

 梵天の言葉を聞いて、神々はサラスヴァティー川の向こう岸にあるダディーチャの隠棲処へ行った。彼らはそこで太陽のごとく輝くダディーチャに会い、その足下にひれ伏して望みをかなえてくれと頼んだ。するとダディーチャは非常に喜んで、彼らにこう答えた。

「私は今日、あなた方のお役に立ちましょう。あなた方のために身を捨てます。」

 とそう言うと、その偉大な聖者は突然息をひきとったのである。そこで神々は教えられた通りに彼の骨をとり出して、トゥヴァシュトリ(工巧神)を呼んで目的を告げた。トゥヴァシュトリは彼らの頼みを聞いて勇み立ち、一心不乱に仕事に励み、こよなく恐ろしい形をしたヴァジュラを造り上げ、シャクラ(インドラ)に告げた。

「このヴァジュラの打撃により、今日、獰猛な神の敵を粉砕しなさい」と。

 都市の破壊者(インドラ)は、喜んでそのヴァジュラをつかんだ。(『マハーバーラタ』三・九八、以下の話は第四話に続く。)


 (後略)

上村勝彦『インド神話 マハーバーラタの神々』ちくま学芸文庫

 インドラの二つ名「都市の破壊者」は、こういうときには不適当な表現ではないでしょうか。豪快なとばっちりが都市民に降りかかりそうです。