蜀犬 日に吠ゆ

2013-01-11

[][][][][]冬のうた を読む(その27) 19:31 はてなブックマーク - 冬のうた を読む(その27) - 蜀犬 日に吠ゆ

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 万法一如(マンポウイチニョ)トミル時ハ 谷ノ巌(イハヲ)モ花ノ色

                         中古雑唱集


 「南都興福寺延年唱歌」の一節。「延年」は東大寺、興福寺他の大寺で、大法会(だいほうえ)の後余興に演じられた諸種の芸能。平安中期に興り鎌倉期に盛んだった。今も少々は残存する。「万法一如」は宇宙の物ことごとく仏法のもとでは平等無差別という思想で、その目でみればけわしい巨岩も花の色を湛えているという。世阿弥が『風姿花伝』で、鬼を見事に演じるためには、巌に花が咲くようであれ、と言ったのが思いおこされる。

大岡信『折々のうた』岩波新書

 仏道からすれば「巌」だの「花」という分別すらないように思われます。ましてや、「色」が存在するなんて。南無南無(みなみがない)。


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 あはれ。 あなおもしろ。 あなたのし。 あなさやけ。 をけ。

                     古語拾遺(こごしゅうい)


 古代から伝承された旧説を録した平安前期の歴史書『古語拾遺』に、天照大神が身を隠していた天の岩戸から再び世に立ち現れたとき、闇に再び光が戻ったのを喜んで神々が歌い舞った曲として録される。この歌の語句はすべて、歓喜の情を盛った単純率直なはやし詞に近い。「おもしろ」は大神の出現で明るくなり、互いの面(おも)が明白(しろ)くなったことと同書は説く。面状の明るみのよみがえりを「面白い」として喜び祝った古代の心。

大岡信『折々のうた』岩波新書

 最後の「をけ」は何でしょう。現代語に、類する語彙はありましょうか。

折々のうた (岩波新書 黄版 113)

折々のうた (岩波新書 黄版 113)

[][][]一月一一日 あきらめ自体をあきらめる 19:24 はてなブックマーク - 一月一一日 あきらめ自体をあきらめる - 蜀犬 日に吠ゆ

一月一一日

あきらめ自体をあきらめる。

途端に可能の鐘が鳴る。

やってごらん。

あきらめる自分自身をあきらめなさい。

スルトほれごらん、もう立派にやり直しているではありませんか。

むのたけじ『一日一言』岩波新書
99歳一日一言 (岩波新書)

99歳一日一言 (岩波新書)