蜀犬 日に吠ゆ

2013-07-31

[][][]七月三一日 私が六歳の時、村祭を 19:42 はてなブックマーク - 七月三一日 私が六歳の時、村祭を - 蜀犬 日に吠ゆ

七月三一日

私が六歳の時、村祭を見に行ったら、次々と花火が上がった。花火には大きな紙風船が入っていて、それを子らはツキ(月)と呼んで取っていた。私も一個を追いかけてつかんだと思った瞬間、沼に落ちてズブズブと沈み、水が口のところに来た。全く泳げなかったので、死ぬとおびえた瞬間、ズブリと大きな手を感じて私は襟首をつかまれ地上に降ろされていた。まわりを見わたしたが、誰もいなかった。名も知らぬ人に助けられ、私は幼いなりに自分の生命に対して自信と責任を覚えた。この経験から思うのですが、人類の一員である私たちはどこかで、何かで名も姿も知らない人たちに助けられているのではないか。

むのたけじ『一日一言』岩波新書
99歳一日一言 (岩波新書)

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 助けられてばかりです。知っている人でも、知らない人でも、助けてくれる人がいて、私はこうして生き延びています。そして、そういう善意の人たちを裏切って、うらぎって生き延びてもいます。