蜀犬 日に吠ゆ

2013-08-02

[][][]八月二日 歌舞伎座の再建のニュース 19:07 はてなブックマーク - 八月二日 歌舞伎座の再建のニュース - 蜀犬 日に吠ゆ

八月二日

歌舞伎座の再建のニュースを聞いていたら、親友の顔をふと思い出した。東京外国語学校に入学したときに隣席にすわった前橋市出身の江原武君だ。私の好きでない高級軍人の子息と聞いて、最初の一学期はろくに口をきかなかった。でも、夏休みに、ふと手紙をやりとりしたら親しみを覚えた。けれど物の考えや趣味は違っていた。私が歌舞伎見物なんてブルジョワ趣味だと言ったら、彼は私を立ち見席の見物に何度も誘って私を歌舞伎ファンに変えた。それだけではない。

「君は外語なんてやめて歌舞伎の長唄の師匠に弟子入りしなさいよ。きっと一家を成してメシを食えよう」と勧めてきた。彼と私には相違や差異はいろいろあったが、だから対立するのでなく、一対の結びつきになれると教えてくれた。

江原君は太平洋戦争の直前に鉄道省の職員としてアルゼンチンに行き、そのままそこで亡くなった。私との直の交際は短期間でしたが、現在も一番の親友だ。

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 昨日の話からつづくのですね。

 相容れないもの同士が一対になる。お互いに歩み寄りなんかしなくても、そのままで確固とした「一対」になれると言うことでしょうか。