蜀犬 日に吠ゆ

2013-12-23

[][][]金谷治訳注『大学・中庸岩波文庫 「第五章」 21:15 はてなブックマーク - 金谷治訳注『大学・中庸』岩波文庫 「第五章」 - 蜀犬 日に吠ゆ

第五章 凡そ二節

 所謂治国必先斉其家者、其家不可教、而能教人者、無之、故君子不出家、而成教於国、孝者所以事君也、弟者所以事長也、慈者所以使衆也、康誥曰、如保赤子、心誠求之、雖不中不遠矣、未有学養子事后嫁者也、

一家仁、一国興仁、一家譲、一国興譲、一人貪戻、一国作乱、其機如此、此謂一言僨事、一人定国、

尭舜率天下以仁、而民従之、桀紂率天下以暴、而民従之、其所令反其所好、而民不従、是故君子有諸己、而后求諸人、無諸己、而后非諸人、所蔵乎身不恕、而能喩諸人者、未之有也、故治国在其家、

 謂わゆる国を治むるには必ずその家を斉うとは、その家に教うべからずして能く人を教うる者は、これ無し。故に君子は家を出でずして教えを国に成す。孝とは君に事うる所以なり。弟(てい)とは長に事うる所以なり。慈とは衆を使う所以なり。康誥に曰わく、「赤子(せきし)を保(やす)んずるが如し」と。心誠にこれを求むれば、中(あた)らずと雖も遠からず。未(いま)だ子を養うことを学んで后(のち)に嫁(と)つぐ者は有らざるなり。

 一家仁なれば一国仁に興り、一家譲なれば一国譲に興り、一人貪戻(たんれい)なれば一国乱を作す。その機此くの如し。此れを、一言事を僨(やぶ)(敗)り、一人国を定む、と謂う。

 尭・舜は天下を率いるに仁を以てし、民これに従い、桀・紂は天下を率いるに暴を以てして、民これに従えり。その令する所をその好む所に反するときは、而(すなわ)(則)ち民従わず。是の故に君子は諸を己れに有らしめて而(しか)る后に諸れを人に求め、諸れを己れに無からしめて而る后に諸れを人に非(そし)(誹)る。身に蔵する所恕せずして、而も能く諸れを人に喩(さと)す者は、未だこれ有らざるなり。故に国を治むるはその家を斉うるに在るなり。

金谷治『大学・中庸』岩波文庫
大学・中庸 (岩波文庫)

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