蜀犬 日に吠ゆ

2013-12-25

[][][]金谷治訳注『大学・中庸岩波文庫 「第六章」 19:41 はてなブックマーク - 金谷治訳注『大学・中庸』岩波文庫 「第六章」 - 蜀犬 日に吠ゆ

第六章 凡そ四節

 所謂平天下在治其国者、上老老而民興孝、上長長而民興弟、上恤孤而民不倍、是以君子有絜矩之道也、所悪於上、毋以使下、所悪於下、毋以事上、所悪於前、毋以先後、所悪於後、毋以従前、所悪於右、毋以交於左、所悪於左、毋以交於右、此之謂絜矩之道、

 謂わゆる天下を平らかにするはその国を治むるに在りとは、上老を老として而(乃)(すなわ)ち民孝に興り、上長を長として而ち民弟(悌)(てい)に興り、上孤を恤(あわれ)みて而民倍(そむ)かず。是(ここ)を以て君子には絜矩(けっく)の道あるなり。上に悪(にく)むところ、以て下(しも)を使うこと毋(な)く、下に悪むところ、以て上に事うること毋かれ。前に悪むところ、以て後(しりえ)に先だつこと毋く、後に悪むところ、以て前に従うこと毋かれ。右に悪むところ、以て左に交わること毋く、左に悪むところ、以て右に交わること毋かれ。此をこれ絜矩の道と謂う。

 詩云、楽只君子、民之父母、民之所好好之、民之所悪悪之、此之謂民之父母、

 詩云、節彼南山、維石巌巌、赫赫師尹、民具爾贍、有国者不可以不慎、辟則為天下僇、

 詩云、殷之未喪師、克配上帝、儀監于殷、峻命不易、道得衆則得国、失衆則失国、

 詩に云う、「楽只(たの)しき君子は民の父母」と。民の好むところはこれを好み、民の悪(にく)むところはこれを悪む。此れをこれ民の父母と謂う。

 詩に云う、「節たる彼(か)の南山、維(こ)れ石巌巌(がんがん)たり、赫赫(かくかく)たる師尹(しいん)よ、民具(倶)(とも)に爾(なんじ)を贍(み)る」と。国を有(たも)つ者は、以て慎しまざるべからず。辟(かたよ)るときは則ち天下の僇(戮)(りく)と為らん。

 詩に云う、「殷の未だ師(衆)(もろもろ)を喪(うしな)わざるや、克(よ)く上帝に配(かな)えり。儀(宜)(よろ)しく殷に監(鑒)(かんが)みるべし、峻命は易からず」と。衆を得れば則ち国を得、衆を失えば則ち国を失うを道(い)うなり。

金谷治『大学・中庸』岩波文庫
大学・中庸 (岩波文庫)

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