蜀犬 日に吠ゆ

2014-06-02

[][][]角川歴彦という男 20:14 はてなブックマーク - 角川歴彦という男 - 蜀犬 日に吠ゆ

 きちんとまとまってから記事を書きたいものだと思っていましたが、そんなことをいっていたらいつまでたっても何もかけません。2011年4月(たぶん)の朝日新聞記事を書き起こしてみます。

角川グループホールディングス会長 角川歴彦さん(67歳)
大衆を信じる情報革命の旗手

 東日本大災後、友人の作家に「発言すべきではないか」と提案すると、「10年待ってほしい」と言われたという。「良心的だとは思う。この災を咀嚼して考えをまとめるにはそれくらいかかる。ただ20世紀はそれでよかったが、今は通じない」

 10年どころか1年先も見通せないデジタル革命の中で、国内有数のビジョナリー(先見的経営者)と評される。

 2005年末に登場したユーチューブに映画などの違法投稿が相次ぎ、権利者に敵視されていた時期から提携を提案。08年に公式ページをユーチューブに設置して同社アニメ作品を無料公開した。注目されたのが、同社作品を基にファンが投稿した二次創作の扱いだ。著作権侵害でも一律削除はせず、一つ一つ内容を確認して原作者らと話し合い、多くの作品を公認した。

 日本の著作権法は、権利者の要請を受けてネットに厳しく改正されてきたが、それと対照的な姿勢だ。その根本には、変化を恐れない積極性と大衆への信頼がある。

 「いま進行中の『ソーシャル革命』では、大衆が互いに情報を発信し受信する。その芽はアナログ時代にもあった。芥川賞のような新人賞がそうだし、私たちもライトノベルで新人発掘に力を入れてきた。大衆が生みだすものを私は信じてきました。」

 80年代にロサンゼルスを訪ねた際、案内役の商社マンが「断絶していた父子の会話が『ダンジョンズ・アンド・ドラゴンズ(D&D)』のおかげでよみがえった」と話すのに感銘を受けた。D&Dはロールプレイングゲーム(RPG)の元祖で、「ドラゴンクエスト」などの源流だ。ドラクエでコンピューターが務めるゲームマスターをD&Dでは人間が受け持つ。複雑な台本とゲームのプラットフォーム(仕組み)の上に、プレーヤーやゲームマスターの豊かなコミュニケーションが生まれ、プレーごとに異なる物語が紡がれる。

 「いまソーシャルと呼ばれている現象を理解する原点がD&Dでした。原作をプラットフォームにしてコミュニケーションが生まれ、さまざまな人が多彩な二次創作を紡ぐ。人々に広く開かれていることで生まれる豊かさがあるのです。だから原作者の権利を厳格に守る著作権法のあり方には疑問がわく」

 角川グループは、出版、映画、コミックなどコンテンツ産業の集合体。中核となる角川書店と角川映画を今年1月に合併させた。

 「iPadの出現で、全てのコンテンツがデジタルの上にまとまると確信した。例えば『時をかける少女』は小説も映画もアニメも一つのデータベースに載るだろう。そうした時代に合わせて、コンテンツも当然進化する。その変化に対応するのに、組織は柔軟な方がいい」

 ここでも鍵は大衆だ。

 「組織は大衆の声を聞けるようにしておかないといけない。いまネットの集合知と呼ばれる大衆の声は、いずれ巨大知へと進化し、そこから得られる情報が今以上に重要になっていくはずですから」

 文・丹治吉順

 写真・麻生健

 b3面に続く

「フロントランナー」『朝日新聞be』

 ここで力尽きました。