蜀犬 日に吠ゆ

2013-12-26

[][][]金谷治訳注『大学・中庸岩波文庫 「第六章」 19:19 はてなブックマーク - 金谷治訳注『大学・中庸』岩波文庫 「第六章」 - 蜀犬 日に吠ゆ

第六章 凡そ四節

是故君子先慎乎徳、有徳此有人、有人此有土、有土此有財、有財此有用、徳者本也、財者末也、外本内末、争民施奪、是故財聚則民散、財散則民聚、是故言悖而出者、亦悖而入、貨悖而入者、亦悖而出、

康誥曰、惟命不于常、道善則得之、不善失之矣。

 是(こ)の故(ゆえ)に君子は先ず徳を慎む。徳あれば此(ここ)に人あり、人あれば此に土あり、土あれば此に財あり、財あれば此に用あり。徳は本なり。財は末なり。本を外(うと)んじて末に内(した)しめば、民を争わしめて奪うことを施(おし)うるなり。是の故に財聚(あつ)まれば則ち民散じ、財散ずれば則ち民聚まる。是の故に言悖(もと)りて出ずれば亦た悖りて入り、貨悖りて入ればまた悖りて出ず。

 康誥に曰わく、「惟れ命は常に于(お)いてせず」と。善なれば則ちこれを得、不善なれば則ちこれを失うを道うなり。

金谷治『大学・中庸』岩波文庫
大学・中庸 (岩波文庫)

大学・中庸 (岩波文庫)

2013-12-25

[][][]金谷治訳注『大学・中庸岩波文庫 「第六章」 19:41 はてなブックマーク - 金谷治訳注『大学・中庸』岩波文庫 「第六章」 - 蜀犬 日に吠ゆ

第六章 凡そ四節

 所謂平天下在治其国者、上老老而民興孝、上長長而民興弟、上恤孤而民不倍、是以君子有絜矩之道也、所悪於上、毋以使下、所悪於下、毋以事上、所悪於前、毋以先後、所悪於後、毋以従前、所悪於右、毋以交於左、所悪於左、毋以交於右、此之謂絜矩之道、

 謂わゆる天下を平らかにするはその国を治むるに在りとは、上老を老として而(乃)(すなわ)ち民孝に興り、上長を長として而ち民弟(悌)(てい)に興り、上孤を恤(あわれ)みて而民倍(そむ)かず。是(ここ)を以て君子には絜矩(けっく)の道あるなり。上に悪(にく)むところ、以て下(しも)を使うこと毋(な)く、下に悪むところ、以て上に事うること毋かれ。前に悪むところ、以て後(しりえ)に先だつこと毋く、後に悪むところ、以て前に従うこと毋かれ。右に悪むところ、以て左に交わること毋く、左に悪むところ、以て右に交わること毋かれ。此をこれ絜矩の道と謂う。

 詩云、楽只君子、民之父母、民之所好好之、民之所悪悪之、此之謂民之父母、

 詩云、節彼南山、維石巌巌、赫赫師尹、民具爾贍、有国者不可以不慎、辟則為天下僇、

 詩云、殷之未喪師、克配上帝、儀監于殷、峻命不易、道得衆則得国、失衆則失国、

 詩に云う、「楽只(たの)しき君子は民の父母」と。民の好むところはこれを好み、民の悪(にく)むところはこれを悪む。此れをこれ民の父母と謂う。

 詩に云う、「節たる彼(か)の南山、維(こ)れ石巌巌(がんがん)たり、赫赫(かくかく)たる師尹(しいん)よ、民具(倶)(とも)に爾(なんじ)を贍(み)る」と。国を有(たも)つ者は、以て慎しまざるべからず。辟(かたよ)るときは則ち天下の僇(戮)(りく)と為らん。

 詩に云う、「殷の未だ師(衆)(もろもろ)を喪(うしな)わざるや、克(よ)く上帝に配(かな)えり。儀(宜)(よろ)しく殷に監(鑒)(かんが)みるべし、峻命は易からず」と。衆を得れば則ち国を得、衆を失えば則ち国を失うを道(い)うなり。

金谷治『大学・中庸』岩波文庫
大学・中庸 (岩波文庫)

大学・中庸 (岩波文庫)

2013-12-24

[][][]金谷治訳注『大学・中庸岩波文庫 19:28 はてなブックマーク - 金谷治訳注『大学・中庸』岩波文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

第五章 凡そ二節

 詩云、桃之夭夭、其葉蓁蓁、之子于帰、宜其家人、宜其家人、而后可以教国人、

 詩云、宜兄宜弟、宜兄宜弟、而后可以教国人、

 詩云、其儀不忒、正是四国、其為父子兄弟足法、而后民法之也、此謂治国在斉其家、

 詩に云う、「桃の夭夭たる、その葉蓁蓁(しんしん)たり、之(こ)の子于(ここ)に帰(とつ)ぐ、その家人に宜(よろ)し」と。、その家人に宜しくして、而る后に国人を教うべきない。

 詩に云う、「兄に宜しく弟に宜し」と。兄に宜しく弟に宜しくして、而る后に国人を教うべきなり。

 詩に云う、「その儀忒(たが)わず、是の四国を正す」と。その父子兄弟たること法(のっと)るに足りて、而る后に民これに法る。此れを、国を治むるはその家を斉うるに在り、と謂うなり。

金谷治『大学・中庸』岩波文庫
大学・中庸 (岩波文庫)

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2013-12-23

[][][]金谷治訳注『大学・中庸岩波文庫 「第五章」 21:15 はてなブックマーク - 金谷治訳注『大学・中庸』岩波文庫 「第五章」 - 蜀犬 日に吠ゆ

第五章 凡そ二節

 所謂治国必先斉其家者、其家不可教、而能教人者、無之、故君子不出家、而成教於国、孝者所以事君也、弟者所以事長也、慈者所以使衆也、康誥曰、如保赤子、心誠求之、雖不中不遠矣、未有学養子事后嫁者也、

一家仁、一国興仁、一家譲、一国興譲、一人貪戻、一国作乱、其機如此、此謂一言僨事、一人定国、

尭舜率天下以仁、而民従之、桀紂率天下以暴、而民従之、其所令反其所好、而民不従、是故君子有諸己、而后求諸人、無諸己、而后非諸人、所蔵乎身不恕、而能喩諸人者、未之有也、故治国在其家、

 謂わゆる国を治むるには必ずその家を斉うとは、その家に教うべからずして能く人を教うる者は、これ無し。故に君子は家を出でずして教えを国に成す。孝とは君に事うる所以なり。弟(てい)とは長に事うる所以なり。慈とは衆を使う所以なり。康誥に曰わく、「赤子(せきし)を保(やす)んずるが如し」と。心誠にこれを求むれば、中(あた)らずと雖も遠からず。未(いま)だ子を養うことを学んで后(のち)に嫁(と)つぐ者は有らざるなり。

 一家仁なれば一国仁に興り、一家譲なれば一国譲に興り、一人貪戻(たんれい)なれば一国乱を作す。その機此くの如し。此れを、一言事を僨(やぶ)(敗)り、一人国を定む、と謂う。

 尭・舜は天下を率いるに仁を以てし、民これに従い、桀・紂は天下を率いるに暴を以てして、民これに従えり。その令する所をその好む所に反するときは、而(すなわ)(則)ち民従わず。是の故に君子は諸を己れに有らしめて而(しか)る后に諸れを人に求め、諸れを己れに無からしめて而る后に諸れを人に非(そし)(誹)る。身に蔵する所恕せずして、而も能く諸れを人に喩(さと)す者は、未だこれ有らざるなり。故に国を治むるはその家を斉うるに在るなり。

金谷治『大学・中庸』岩波文庫
大学・中庸 (岩波文庫)

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2013-12-22

[][][]金谷治訳注『大学・中庸岩波文庫 「第四章」 17:34 はてなブックマーク - 金谷治訳注『大学・中庸』岩波文庫 「第四章」 - 蜀犬 日に吠ゆ

第四章

 所謂斉家在脩其身者、人之其所親愛而譬焉、之其所賤悪而譬焉、之其所畏敬而譬焉、之其所哀矜而譬焉、之其所敖惰而譬焉、故好而知其悪、悪而知其美者、天下鮮矣、

故諺有之、曰、人莫知其子悪、莫知其苗之碩、此謂身不脩不可以斉其家、

 謂わゆるその家を斉(ととの)うるはその身を脩むるに在りとは、人はその親愛する所に之(お)(於)いて譬(かたよ)(僻)り、その賤悪(せんお)する所に之いて譬り、その畏敬する所に之いて譬り、その哀矜(あいきょう)する所に之いて譬り、その敖惰(ごうだ)する所に之いて譬る。故に好みてもその悪を知り、悪(にく)みてもその美を知る者は、天下に鮮(すくな)し。

 故に諺にこれ有り、曰わく、「人はその子の悪(みにく)きを知るなく、その苗の碩(おお)(大)いなるを知るなし」と。此れを、身脩まらざればその家を斉うべからず、という。

金谷治『大学・中庸』岩波文庫
大学・中庸 (岩波文庫)

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2013-12-21

[][][]金谷治訳注『大学・中庸岩波文庫 「第三章」 20:16 はてなブックマーク - 金谷治訳注『大学・中庸』岩波文庫 「第三章」 - 蜀犬 日に吠ゆ

第三章

所謂脩身在正其心者、身有所忿懥、則不得其正、有所恐懼、則不得其正、有所好楽、則不得其正、有所憂患、則不得其正、

心不在焉、視而不見、聴而不聞、食而不知其味、此謂脩身在正其心、

 謂わゆる身を脩むるはその心を正すに在りとは、身に忿懥するところあるときは、則ちその正を得ず、恐懼するところ有るときは、則ちその正を得ず、好楽するところ有るときは、則ちその正を得ず、憂患するところ有るときは、則ちその正を得ず。

 心焉(ここ)に在らざれば、視れども見えず、聴けども聞こえず、食らえどもその味を知らず、此れを、身を脩むるはその心を正すに在り、と謂う。

金谷治『大学・中庸』岩波文庫
大学・中庸 (岩波文庫)

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