蜀犬 日に吠ゆ

2014-01-28

[][]『上田敏全訳詩集』岩波文庫(ワイド版)よりカアル・ブッセ「山のあなた08:52 はてなブックマーク - 『上田敏全訳詩集』岩波文庫(ワイド版)よりカアル・ブッセ「山のあなた」 - 蜀犬 日に吠ゆ

カアル・ブッセ

山のあなた

 山のあなたの空遠く

 「幸(さいはひ)」住むと人のいふ。

 噫、われひとゝ尋(と)めゆきて、

 涙さしぐみかへりきぬ。

 山のあなたになほ遠く

 「幸」住むと人のいふ。

http://katawareboshi01.g.hatena.

 この詩を読んでいつも思うのは、「幸(さいはひ)」って言われるといかにも手に入らなそうな儚さを感じるなあ、ということ。

 もう一つ最近は、一緒に行ったひとはどうしたのかしら、という疑問もわいてきました。

シルバー「フリントの野郎、宝を隠しに手下とボートに乗ったはいいが、たった一人で帰って来やがった……、が…」


[][]『上田敏全訳詩集』岩波文庫(ワイド版)よりポオル・ヱ゛ルレエヌ「落葉(らくえふ)」 08:52 はてなブックマーク - 『上田敏全訳詩集』岩波文庫(ワイド版)よりポオル・ヱ゛ルレエヌ「落葉(らくえふ)」 - 蜀犬 日に吠ゆ

ポオル・ヱ゛ルレエヌ

落葉(らくえふ)

秋の日の

ヰ゛オロンの

ためいきの

身にしみて

ひたぶるに

うら悲し。


鐘のおとに

胸ふたぎ

色かへて

涙ぐむ

過ぎし日の

おもひでや。


げにわれは

うらぶれて

こゝかしこ

さだめなく

とび散らう

落葉かな。



 佛蘭西の詩はユウゴオに繪畫の色を帯び、ルコント・ドゥ・リイル

 に彫塑の形を具へ、ヱ゛ルレエヌに至りて音樂の聲を傅へ、而して又

 更に陰影の匂なつかしきを捉へむとす。     譯者

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上田敏全訳詩集 (ワイド版 岩波文庫)

上田敏全訳詩集 (ワイド版 岩波文庫)

2014-01-25

[][]清水義範『ドン・キホーテの末裔』岩波現代文庫(その2) 22:23 はてなブックマーク - 清水義範『ドン・キホーテの末裔』岩波現代文庫(その2) - 蜀犬 日に吠ゆ

ドン・キホーテの著者

 …

 わたしの考えでは、この「最終的」な『ドン・キホーテ』を重ね書きの羊皮紙と見るのが正しい。そこには、われわれの有人の「前の」筆跡――かすかであるが解読できないことはない――が透けて見える。残念ながら第二のピエール・メナールだけが、先行者の作業を逆に行うことによって、このいわばトロイを発掘し、蘇らせることが可能なのだろう……

 「思考し、分析し、創造することは」とまた彼は書いている。「異常な行為ではなくて、知性の行う正常な呼吸作用なのです。この機能のたまさかの遂行を賞賛し、他人の古い思想をため込み、万能の博士(ドクトル・ウニウエルサリス)が考えたことを不信や驚きの念とともに思いだすのは、われわれの怠惰もしくは野蛮さをあからさまに告白することです。すべての人間はすべての思想を持つことが可能でなくてはなりません。将来はかならずそうなると、わたしは思っています。」

ボルヘス「『ドン・キホーテの著者』ピエール・メナール」『伝奇集』岩波文庫
ドン・キホーテの末裔 (岩波現代文庫)

ドン・キホーテの末裔 (岩波現代文庫)

伝奇集 (岩波文庫)

伝奇集 (岩波文庫)

2014-01-11

[][]清水義範『ドン・キホーテの末裔』岩波現代文庫 22:23 はてなブックマーク - 清水義範『ドン・キホーテの末裔』岩波現代文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

 現在第8章。

 本当にボルヘスが出てきた。いいぞいいぞ。

ドン・キホーテの末裔 (岩波現代文庫)

ドン・キホーテの末裔 (岩波現代文庫)

 それまで現実世界とは違うとごまかしてきた世界が歪んできました。

 「ちくま」を「つくま」、「蕎麦ときしめん」を「蕎麦と兵隊」、「国語入試問題必勝法」と「映画字幕の作り方教えます」をあわせて「国語問題の作り方教えます」などと茶化してきたのに、いきなりリアリティが増加。ドストエフスキ『白痴』、スタンダール『赤と黒』、マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』、夏目漱石『坊っちゃん』…はじめこの辺はぼんやり読んでいました。セルバンテスが普通に言及されるわけですから。でも、「丸谷才一さんが」で急速に違和感が生じまして。幾重かに張られたメタフィクションの網が突然取り払われた感じ。で、冷静に考えるとここで歴代の文学者を列挙していたのですね。その意図はよく分かりませんが。

 で、ボルヘスの登場。「ピエール・メナール」で、列挙の意味が分かったような分からないような。

 滅裂になってきたことは想定内ですけれども、なんだかすごいことになったような気もします。

伝奇集 (岩波文庫)

伝奇集 (岩波文庫)

 高橋源一郎『ゴーストバスターズ』を思い出しましたが、アマゾンにないのでリンクは無し。

2014-01-05

[][][][]J.L.ボルヘス『伝奇集』岩波文庫 16:27 はてなブックマーク - J.L.ボルヘス『伝奇集』岩波文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

 目次を紹介

伝奇集 (岩波文庫)

伝奇集 (岩波文庫)

目次
伝奇集
八岐の園
  • プロローグ
  • トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス
  • アル・ムターシムを求めて
  • 『ドン・キホーテ』の著者、ピエール・メナール
  • 円環の廃墟
  • バビロニアのくじ
  • ハーバート・クエインの作品の検討
  • バベルの図書館
  • 八岐の園
ボルヘス『伝奇集』岩波文庫

 清水義範『ドン・キホーテ』岩波現代文庫 を読み始めたところでして。

 当然セルバンテスは登場するのでしょうけれど、それと、セルバンテス言うところの『ドン・キホーテ伝』作者のベレンヘーナ、さらにセルバンテスを憎む『偽ドン・キホーテ』作者アベリャネーダが出てきました。ここまででるなら、ホイヘンスおじさんにも出てきて欲しいものだ、というのは、わたしはもう『末裔』の第1章で頭が混乱し、筋をたどれなくなりつつあるからです。だったら、

以上が(中略)メナールの目に見える作品である(中略)。ここでわたしは別の作品に話を移したい。それは、(中略)『ドン・キホーテ』第一部の第九章と第三十八章、さらに第二十二章の断片からなっている。このような説明がナンセンスと思われることは、わたしも知っている。

ボルヘス「『ドン・キホーテの著者』ピエール・メナール」『伝奇集』岩波文庫

 からはじまるホラ話も加えて、是非に話をもっと滅裂にしてもらってかまわないくらい。

ドン・キホーテの末裔 (岩波現代文庫)

ドン・キホーテの末裔 (岩波現代文庫)

2013-12-06

[][]春と修羅 17:01 はてなブックマーク - 春と修羅 - 蜀犬 日に吠ゆ

春と修羅
   (mental skech modified)

心象のはひいろははがねから

あけびのつるはくもにからまり

のばらのやぶや腐植の湿地

いちめんのいちめんの諂曲(てんごく)模様

(正午の管楽よりもしげく

 琥珀のかけらがそそぐとき)

いかりのにがさまた青さ

四月の気層のひかりの底を

唾(つばき)し はぎしりゆききする

おれはひとりの修羅なのだ

(風景はなみだにゆすれ)

砕ける雲の眼路(めぢ)をかぎり

 れいろうの天の海にはい

  聖玻璃(せいはり)の風が行き交ひ

   ZYPRESSEN 春のいちれつ

    くろぐろと光素を吸ひ

     その暗い脚並(あしなみ)からは

      天山の雪の稜(かど)さへひかるのに

      (かげろふの波と白い偏光(へんくわう))

      まことのことばはうしなはれ

     雲はちぎれてそらをとぶ

    ああかがやきの四月の底を

   はぎしり燃えてゆききする

  おれは一人の修羅なのだ

  (玉髄の雲がながれて

   どこで啼くその春の鳥)

  日輪青くかげろへば

    修羅は樹林に交響し

     陥りくらむ天の椀から

      黒い木の群落が伸び

       その枝はかなしくしげり

      すべて二重の風景を

     喪神(そうしん)の森の梢(こずゑ)から

    ひらめいてとびたつからす

    (気層いよいよすみわたり

     ひのきもしんと天に立つころ)

草地の黄金(きん)をすぎてくるもの

ことなくひとのかたちのもの

けらをまとひおれを見るその農夫

ほんたうにおれが見えるのか

まばゆい気圏の海のそこに

(かなしみは青々ふかく)

WYPRESSEN しづかにゆすれ

鳥はまた青ぞらを截る

(まことのことばはここになく

 修羅のなみだはつちにふる)

あたらしくそらに息つけば

ほの白く肺はちぢまり

(このからだそらのみぢんにちらばれ)

いてふのこずゑまたひかり

ZYPRESSEN いよいよ黒く

雲の火ばなは降りそそぐ

天沢退二郎編『宮沢賢治詩集』新潮文庫
新編 宮沢賢治詩集 (新潮文庫)

新編 宮沢賢治詩集 (新潮文庫)

2013-10-20

[][]藤原浩『宮沢賢治とサハリン』ユーラシアブックレット 東洋書店 15:46 はてなブックマーク - 藤原浩『宮沢賢治とサハリン』ユーラシアブックレット 東洋書店 - 蜀犬 日に吠ゆ

宮澤賢治とサハリン ―「銀河鉄道」の彼方へ―

序 銀河鉄道〈花巻〉発〈栄浜〉行き

第一章”サハリン紀行”の概要

 一 詩作と信仰の求道者~宮澤賢治の前半生~

 二 北を目指して~旅の動機と時代状況~

 三 ”サハリン紀行”の行程

第二章 ”サハリン紀行”をたどる(一)~花巻から栄浜へ~

 一 青森挽歌~かんがへださなければならないこと~

 二 宗谷挽歌~ほんたうの幸福を求めて~

 三 樺太上陸~大泊にて~

 四 オホーツク挽歌~たどり着いた魂の果て~

第三章 ”サハリン紀行”をたどる(二)~栄浜から花巻まで~

 一 樺太鉄道~今も残る日本時代の鉄路~

 二 鈴谷平原~豊原にて~

 三 噴火湾~消えない思いを抱いて~

第四章 ”サハリン紀行”とは何だったのか

 一”サハリン紀行”とは何だったのか

 二 今後の課題と展望

 三 ”サハリン紀行”をより深く知るために

あとがき

本書関連年譜/本書関連時刻表

藤原浩『宮沢賢治とサハリン』ユーラシアブックレット 東洋書店

[][]祖国とは国語だ~~山本夏彦『完本 文語文』文春文庫 12:46 はてなブックマーク - 祖国とは国語だ~~山本夏彦『完本 文語文』文春文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

目次

文語文  11

兆民先生 49

聖書   60

二葉亭四迷の思い出 65

一葉の日記 74

萩原朔太郎 83

佐藤春夫 88

訳詩集  93

字引   105

中島敦  110

友垣   118

祖国とは国語だ 118


言い回しのほう 131

私の文章作法  148

理科系の文章読本 155

口語文   163

東京なまり 168

耳で聞いて分る言葉 172

わが語彙  177

綺堂のことば 182

伊曾保物語 190

機械アルモノハ必ズ機事アリ 195


明治の語彙 205

あとがき  318

解説

山本夏彦『完本 文語文』文春文庫
完本 文語文 (文春文庫)

完本 文語文 (文春文庫)