蜀犬 日に吠ゆ

2015-01-06

[][][][]土田健次郎『江戸の朱子学』筑摩選書 16:50 はてなブックマーク - 土田健次郎『江戸の朱子学』筑摩選書 - 蜀犬 日に吠ゆ

目次

  • 第一章 東アジアにおける朱子学の登場 011
    • 朱子学とは何か/朱子学の思想Ⅰ――「気」とは何か/朱子学の思想Ⅱ――「理」とは何か/朱子学の思想Ⅲ――人における「理」と「気」/朱子学の思想Ⅳ――学問と修養/朱子学のリゴリズム/朱子学についての通念――大義名分と尊皇攘夷/朱子学の登場Ⅰ――唐宋変革論/朱子学の登場Ⅱ――北宋南宋区分論/朱子学と陽明学
  • 第二章 江戸朱子学への道 035
    • 朱子学の日本渡来/中国儒学典籍の需要の仕方/「太極」の引用/『神皇正統記』と朱子学/室町禅僧の朱子学理解の深化/仏教からの脱却Ⅰ――藤原惺窩の場合/仏教からの脱却Ⅱ――山崎闇斎の場合/構造論から修養論へ/伊藤仁斎と山崎闇斎における方向性の共有/江戸朱子学への諸ルート/朝鮮朱子学の影響
  • 第三章 江戸朱子学の流れ 067
    • 江戸朱子学の概観/朱子学と徳川政権/林家という存在/崎門という存在
  • 第四章 丸山真男の朱子学観 083
    • 丸山真男の図式/丸山図式に対する批判/伊藤仁斎と朱子学/荻生徂徠と朱子学・仁斎学
  • 朱子学がもたらしたもの 099
    • 朱子学を受け入れるということ/朱子学が導き出したもの/一、自然と規範/二、内心と外界/三、善と悪/四、個人と社会/五、道徳と欲望/六、主観と客観
  • 第六章 朱子学と反朱子学 115
    • 仁斎の「正」/朱子学と仁斎学の対立/仁斎学と闇斎学の対立/仁斎学の継承と朱子学/荻生徂徠の登場
  • 第七章 朱子学の教理の波及 137
    • 朱子学の基礎教養化/朱子学の正統論/皇統論/『詩経』観の展開/『易経』観の展開/『春秋』観の展開/朱熹の経書解釈の方法/仁斎における意味と血脈/孔子の位置づけ
  • 第八章 朱子学の日本的展開――神道との結合 173
    • 神道との結合/朱子学の鬼神論/祭祀/理と神/闇斎の場合/朱子学者と神道/妙契
  • 第九章 江戸後期の朱子学 197
    • 幕末へ/寛政三博士と佐藤一斎/幕末の朱子学者たち/陽明学の問題/儒教の庶民への浸透と心の思想
  • 第十章 朱子学と近代化 215
    • 朱子学の理の拘束Ⅰ――価値観の問題/朱子学の理の拘束Ⅱ――自然学の問題/日本における学派並列の意味/教育の促進/近代の朱子学/近代化論との関係/朱子学のその後/おわりに
  • 注 236
  • あとがき 246
  • 人名索引 254
土田健次郎『江戸の朱子学』筑摩選書

 のちの尊皇攘夷に影響した根拠などは非常に興味深く読みました。

皇統論

 かかる正統論を日本に当てはめると、最初に日本を統一して二代以上継続したのは皇室であり、しかもその皇室が地方政権になっても存続はしているのであるから、皇室こそが正統ということになる。

 ここで特に重要なのは、朱子学の正統論においては、現実に全国的な権力を握っている政権よりも、地方政権に落ち込んでいても以前の正統の王家を継承するものがあれば、そちらの方を正統と認定することである。

土田健次郎『江戸の朱子学』筑摩選書

 南宋で『資治通鑑』を読み、大義名分に目覚めた朱熹先生(=朱子)の痛恨が響きます。

 尊皇攘夷(倒幕理論)とか、南北正閏論争などもそういうところに由来するのかもしれませんね。朱子学では、正当性を保証する「理」を、堯舜禹の三代と殷湯王、周武王までは王が、それ以降は孔子以下の儒者が担うとしております。

皇統論

 ところで先に述べたように北畠親房は三種の神器を徳の象徴とした。それを直接的に『中庸』に出てくる知、仁、勇という「天下の達徳」に割り当てたのは一条兼良『日本書紀纂疏』であるが、兼良の場合は同時に仏教の般若、法心、解脱にも当てているのであって、儒教的にしぼりこんでいるわけではない。それが江戸時代になると、儒教の「天下の達徳」に一本化する議論が多くなる(たとえば山鹿素行『中朝事実』神器章など)。三種の神器は徳の象徴であり、それを伝える天皇は徳を伝える存在なのである。

土田健次郎『江戸の朱子学』筑摩選書
皇統論

 かかる皇統の存在は、中国や朝鮮に対する優位と認識された。とれには正統と道統の両者をあわせもち、しかも万世一系ということが大きかった。

土田健次郎『江戸の朱子学』筑摩選書

 逆に言うと、万世一系でないと都合が悪いということにもなってしまうのですよね。朱子学のリゴリズム(厳格主義)おそるべし。

皇統論

 朱子学の正統論は、それを日本にあてはめると必然的に皇統の重視へと帰結するようにできている。

土田健次郎『江戸の朱子学』筑摩選書
江戸の朱子学 (筑摩選書)

江戸の朱子学 (筑摩選書)

2013-04-14

[][][][][]小林まこと『一本刀土俵入』講談社 22:11 はてなブックマーク - 小林まこと『一本刀土俵入』講談社 - 蜀犬 日に吠ゆ

 読みました。涙なみだの物語。

劇画・長谷川 伸シリーズ 一本刀土俵入 (イブニングKC)

劇画・長谷川 伸シリーズ 一本刀土俵入 (イブニングKC)

 面白い。長谷川伸はブーム来ませんかね?

 ヤクザ礼賛をするわけではないので褒めにくいのですが、「心意気で生きる」という部分で大切なメッセージをもらって、まあ泣く展開です。

2012-11-16

[][][][][]しがねえ姿の、横綱の土俵入りでござんす。『一本刀土俵入り』講談社 21:05 はてなブックマーク - しがねえ姿の、横綱の土俵入りでござんす。『一本刀土俵入り』講談社 - 蜀犬 日に吠ゆ

 入手。

劇画・長谷川 伸シリーズ 一本刀土俵入 (イブニングKC)

劇画・長谷川 伸シリーズ 一本刀土俵入 (イブニングKC)

 すばらしい。バッドエンドがきらいというか、食い詰めものがヤクザになるのは社会の方の責任でしょ?

 横綱目指して精進する。すばらしい。

 まあなれないですよ。日本一には。厳しいたたかいを勝ち抜いたからこそ日の下開山ですから。

 負けてどうする? そこから長谷川節ですよねえ。

2012-08-22

[][][][][]小林まこと『沓掛時次郎』講談社 23:49 はてなブックマーク - 小林まこと『沓掛時次郎』講談社 - 蜀犬 日に吠ゆ

 漫画屋さんに行っても漫画が売っていない悲しみ。『一本刀土俵入』が欲しい。

 と思ったら、前二作の感想も書いていませんでした。


 第二作、『沓掛時次郎』

劇画・長谷川 伸シリーズ 沓掛時次郎 (イブニングKC)

劇画・長谷川 伸シリーズ 沓掛時次郎 (イブニングKC)

 「沓掛」は信州小諸の地名なんですね。


あらすじ

 沓掛時次郎がヤクザの抗争に参加して人を殺す。×2

 一度目の落ち度を二度目で償うことが出来ない。


 上手な漫画であればあるほど割ったコマのつながりがドラマを造るので、スキャンしづらい。

 著作権侵害の罪悪感はその分少ない。

2012-08-19

[][][][][]小林まこと『関の弥太っぺ』講談社 21:18 はてなブックマーク - 小林まこと『関の弥太っぺ』講談社 - 蜀犬 日に吠ゆ

 漫画屋さんに行っても漫画が売っていない悲しみ。『一本刀土俵入』が欲しい。

 と思ったら、前二作の感想も書いていませんでした。

劇画・長谷川 伸シリーズ 関の弥太ッぺ (イブニングKC)

劇画・長谷川 伸シリーズ 関の弥太ッぺ (イブニングKC)

 長谷川伸シリーズの第一巻。東映任侠物。

 映画を念頭に置いているのでしょうね。サクサク物語が進んで、しかも面白い。キャラが立ってる。お小夜ちゃんビンボくさい。神楽獅子の親分が多分ラスボス。弥太っぺつええ。森助は俺たちサイド。

 みなもと太郎の自伝で、俳優が言うに「東映の任侠は俗悪だが股旅ものは品があった」なる談話がありました。任侠もフィクションならオッケーだと思いますが、作品の質を問うなら違いがあったのでしょうね。

 まあいいから宇都宮の漫画屋も関取漫画を入荷してください。


 ざっくりあらすじ、、、は、あかんのでしょうね。私も穏健なあらすじを紹介できる気がしません。堺の和吉ってどんな人生だったのでしょうね。

2011-08-24

[][][]無職~~関山和夫『落語名人伝』白水Uブックス 20:25 はてなブックマーク - 無職~~関山和夫『落語名人伝』白水Uブックス - 蜀犬 日に吠ゆ

関東の巻・近世(江戸時代)

桜川慈悲成
理くつ

 やくにたたぬむすこ、飯を喰(くら)っては二階へあがり、一日寝てばかりいるゆえ、親父大いに腹をたて

 「やいやい、せがれ、われはまあ飯を喰(くろ)うて寝てばかりおるが、そのように身を持ったらば思いやられたものじや、何か役にたつことをして銭をとることを考えてみろ」

 「わたしも銭をもうけることをこの間から考えております」

 「飯を喰っては寝、喰っては寝して、何が銭もうけになられるものだ」

 「せめて牛になって、車でも引きましょうと存じて」

関山和夫『落語名人伝』白水Uブックス

 伜の台詞って、平成でも通じそうですねえ。引用元である桜川慈悲成の『軽口噺』は(享和三年*1)ですけど、日本語ってあまり変化なかったのかしら。(親父の言葉は江戸っぽいですけどね)

落語名人伝 (白水Uブックス)

落語名人伝 (白水Uブックス)

*1:A.D.1803