蜀犬 日に吠ゆ

2015-02-22

[][][][]荒川弘『アルスラーン戦記』講談社 15:45 はてなブックマーク - 荒川弘『アルスラーン戦記』講談社 - 蜀犬 日に吠ゆ

 田中先生が執筆を再会したとの報道も聞きましたので、これを機会に読んでみようかと思いました。

 しかし、まず漫画から。

 買いに行ったら講談社の棚になくて店員さんに聞いたら思いっきり平積み台にあって、、、お手数とらせてごめんなさいとしか言いようがありません。

 おもしろい。もちろんおもしろくて当たり前の人気シリーズなのですけれども、小説のほうも楽しみにしたいです。

 でも先に積んである『銀河英雄伝説』を何とかしなければならないかも。

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)

銀河英雄伝説 1 黎明編 (創元SF文庫)

 『蘭陵王』は半分くらいまで読んで止まっています。

蘭陵王 (文春文庫)

蘭陵王 (文春文庫)

 よーするに漫画で出してくれって話なのかも。


 それでちょっとおもしろかったのが、漫画版アルスラーン戦記の裏表紙って、バーコードがないのですね。すみっこにISBNが記載してあるだけ。どういうことかというと、普通書店で行われるビニールパック(シュリンク)が、おそらく版元段階でなされて、そこにバーコードのシールが貼ってあるわけですよ。

 写真は、右がシュリンクを外した1巻、左が外していない2巻。

 書籍の装幀にバーコードを印刷する技術が導入されたとき、あちこちで疑問の声はありました。デザインを崩すと。バーコード領域のことを考えて装幀するのか、関係なしにあとからさしこむのか。出版社にとってもメリットとデメリットのバランスで悩みどころだったのではないでしょうかね。

 こういうふうにシュリンクにシールを貼る形は他の書籍でなされているのかわかりませんが、いろいろな試みが続けられているのだなあ、と感じました。

2010-03-16

ぼくは生きてます

[][][][]這い寄る混沌~~田中芳樹『月蝕島の魔物』理論社 19:45 はてなブックマーク - 這い寄る混沌~~田中芳樹『月蝕島の魔物』理論社 - 蜀犬 日に吠ゆ

 ビクトリア朝怪奇冒険譚!

月蝕島の魔物 (ミステリーYA!)

月蝕島の魔物 (ミステリーYA!)

 英語タイトルは「The Devils of the Eclipsed Island」なのに、本文中でのふりがなは「月蝕島(ルナ・イクリプス・アイランド)」の謎。ミステリ。あと、「The Devils」はちょっと考える間が必要でした。なるほどねえ。


 総じて面白かったのですが、三部作の二、三巻は果たして手にはいるのか? そちらの方が不安。

  1. 氷山に閉じこめられた謎の帆船のこと 生還した兵士が姪と再会をはたすこと
    • この物語は、ネッドが晩年になってからの回顧録という形をとる。
      • 執筆は1907年、事件は1857年。
    • 主人公のネッドがクリミア戦争から帰還し、姪のメープルと逢う。
    • 二人でミューザー良書倶楽部(セレクト・ライブラリー)に就職。
  2. それぞれ悩み多き二大文豪のこと 大詩人の朗読が衝撃を与えること
    • ミューザー社のディケンズ担当となる。ディケンズ宅にはアンデルセンが住みついている。
      • 豪華ゲスト、だと思ったら、この二人も冒険のメンバーなんですよね。すこしビッグネームすぎませんか?
        • もうちょっと、超有名人は仄めくぐらいの登場が好みです。
    • ディケンズが参加する詩の朗読会には、ディズレーリ議員(保守党)とグラッドストーン議員(自由党)が仲良く登場しますし。
      • 1857年時点では、自由党パーマストン内閣。この二人が首相になるのは1868年~1890年代ですか。
    • テニスンの『軽騎兵の突撃』朗読でネッドは戦争の記憶がよみがえり、錯乱する。
  3. 北の国へと旅立つ四人組のこと 街角で芸をする文豪たちのこと
    • ディケンズは北極で行方不明となったフランクリン船長の捜索隊を支援するためスコットランドのアバディーンに向かう。
    • 途中、ディケンズがアルマダ海戦の顛末を語る。
      • 無敵艦隊は海戦よりもその後の逃避行での被害が大きかった。行方不明になった船も多かった。初めて知った。ためになります。
      • タブロイド紙で、月蝕島に氷づけの船が漂着したと知る。
    • カラブー内親王事件の張本人、メアリー・ベイカーと出会う。
      • カラブー事件。ためになる。
        • というか、『紅塵』のときもそうですが、よりみち話が多すぎる。勿論本筋に絡んではくるのですけれども、「いかにも余談」という感じなのが残念です。
  4. 月蝕島の領主登場すること 極北の奇譚が語られること
    • ゴードン大佐登場。
      • ここからはもう、アクション、アクション、アクション!
    • とはいかず、ゴードン大佐とは別れる。
      • しかしゴードン大佐、および次男のクリストル、いい悪役っぷりです。
    • 『北方通信』記者のマクミランの引き合わせで、ノルウェー人学者のレーヴボルグと会う。
      • 十五世紀グリーンランド住民の消失。これは知っていました。しかしホッキョクグマを餌にする悪魔は知らなかった。
    • グリーンランドの怪異と月蝕島の事件に関係があるか、ディケンズは調査を開始する。
  5. 大剣の港に到着すること 海辺にて淑女問答のこと
    • 月蝕島の対岸である「ポート・グレイモア」に到着。
    • クリストルが地元住民を剣で切り刻む。
    • 漁師の船を出させて月蝕島へ。
  6. 怪異の島に上陸すること 謎はまたも謎を呼ぶこと
    • ゴードン大佐の見張りに見つかり、メープルはクリストルに連れ去られ、マクミランは行方をくらまし、その他の一行は塔に閉じこめられる。
      • ああ、もう仕掛けが分かった。
  7. 武勲赫々たるモップのこと 中庭にて激しい攻防のこと
    • メープルの脱出、ネッドの脱出
      • ようやくここから、アクション、アクション、アクション!
    • The Devilsが登場する。
  8. 島を這いまわる恐怖のこと 壁にかかった記念品のこと
    • The Monsterが登場する。
    • 大爆発。
    • 後日談。

2010-03-15

[][][]抗金名将~~田中芳樹『紅塵』祥伝社文庫 21:44 はてなブックマーク - 抗金名将~~田中芳樹『紅塵』祥伝社文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

 田中芳樹先生は岳飛が好きすぎですよね。まあ秦檜もひどいけど。

紅塵 (ノン・ポシェット)

紅塵 (ノン・ポシェット)

 抗金の名将である韓世忠の息子、韓子温の物語。韓子温は燕京に潜入して囚われの靖康帝(欽宗)に面会し、その脱出を図るも失敗。メインの話は完顔亮の親征を撃退する事なのですが、300頁の文庫本で、260ページくらいまで戦争が始まらないので読みながら心配してしまいました。

 要するに岳飛や韓世忠の話をしたいわけでしょう? それはそれで構わないのですが、韓子温があちこちで人と会うたびに「この将は……」という流れで事蹟を紹介する形式は、読んでいてもどかしかった。です。


 この作品では、田中先生「唖然」の語を多用しています。以前「憮然」でイチャモンをつけましたが、唖然のほうがずっといい。

2009-11-30

[][][]伝奇のセオリー~~田中芳樹『とっぴんぱらりのぷう』光文社(その2) 23:44 はてなブックマーク - 伝奇のセオリー~~田中芳樹『とっぴんぱらりのぷう』光文社(その2) - 蜀犬 日に吠ゆ

 纐纈城奇譚の悪口を書かねばならない宿業を背負っているので、外堀を埋めます。うっかり消さないようにしたいものです。

とっぴんぱらりのぷぅ

とっぴんぱらりのぷぅ

偉大なりワトソン君

田中 伝奇ミステリーの原型とも言えるでしょうね。横溝正史作品なら、「かつてこの土地の悪辣な領主が……」というような。それこそ”バスカヴィル家”のテイストですから。

 作者のアーサー・コナン・ドイルがよく知りもしなかった日本という国で、こんなにいろんなものが生まれてくるのもおもしろいですね。

 ――作品の特徴として、伝奇ものとしての色合いが濃いということですね。

田中 長篇ミステリーの条件として言われていることがありますね。まず発端の「怪奇性」。それから途中の「サスペンス」。そして最後の「合理性」と。まさに『バスカヴィル家の犬』という作品そのものなんです。

 ――たしかに怪奇性が高いです。ホームズものって、比較的理屈が先行しているイメージがあるのですが、その中では異色と言えるんでしょうか。

田中 いや、ドイルはこういう話、大好きだったんですよ。発端の怪奇性という条件をつきつめていくと、ディクスン・カーあたりになるわけですが。

 最初に得体のしれない謎、その謎に恐怖がともなっていればなおよろしい。そこに、非常にもっともらしい伝承を織りこんでいく。そして中盤で、謎の賊に襲われたり、館が燃え落ちたり、不気味な犬の鳴き声がしたり。で、最後にはすべてにきれいな解決がつくということですね。そういう意味で非常にバランスのとれた、模範的な作品です。

 ――合理性、推理の過程……そこに書き手の姿勢が表れますね。

田中 最後に謎が合理的に解決すれば本格推理になるし、そこに宇宙人が出てくればSFになるわけです。いや、『サイン』という映画なんか見てると、宇宙人出せばいいもんじゃないぞと思うわけですが(笑)。

 ――やはり読む側が納得できないとB級どまりになると。

田中 逆に言えば、発端で怪奇、中盤でサスペンス……と展開してきて、さてどうやってラストで読者を納得させるかということでしょうね。ミステリーならミステリー、SFならSF、ファンタジーならファンタジーなりの、作者の腕力みたいなものが非常に試されると思います。パターンが決まっているなら、それをいかに自分だけの芸として見せていくか。簡単に「同工異曲」なんて言うけど、実は「異曲」の部分が読ませどころなんです。

 ――なるほど。たとえばクイーンが書いたら、こんなふうにはならないんでしょうか。

田中 いや、クイーンでも、短篇なら案外あるんです。「神の灯火」とかね。陰々たる雰囲気の中で、信じられないような奇怪なできごとがおこります。

 ――たくさんあるホームズものの中から、とくに『バスカヴィル家の犬』をあげていらっしゃるというのは、田中さん自身がお好きだということでしょうか。

田中 もちろん好きですよ(笑)。話づくりのたくみさ、それと舞台設定のうまさ。実際、子どもは「ダートムーア」という地名をこれでおぼえますから。

 ――雰囲気のある響きですね。

田中 ダートムーアを舞台にして、いろんなものが書かれたけど、結局これ以上のものってないですしね。実のところ晴れた青空の下で見れば、なんてことはない景勝地だったりするんです。そこを描写によって、もっと魅力……あるいは魔力をもつように見せているし、またそれにふさわしい季節や気象を、考え尽くして設定しているんですよ。

 ――なるほど、それこそが舞台づくりなんですね。

田中芳樹『とっぴんぱらりのぷう』光文社

 「眼高手低」とは……いや違う。田中先生は腕力もあるはずなのに……どうして纐纈城は……


 あと書きうつしていて思ったのは、「JOJO第一部」は、まさにこの通りの伝奇作品ですね。石仮面という人智を超えた「怪奇」を提出しておいて、ディオの野望とリンクさせる。「石仮面は時を待つ」というコマはそのために必要だったのですね。で、ディオが吸血鬼の力に気づいてから「サスペンス」篇。原義は「ちゅうぶらりん」のあやふや状態のことですが、ここでは「生きるか死ぬか?」のことでしょう。ディオがジョージを殺してジョースター邸が炎に包まれる。そして、「解決編」。ここがバトル展開になるのがジャンル「ジャンプ」。もともとジョジョって、起承転結とか序破急とかそういう物語の構造を解体する楽しみ方をしてこなかったのですが、西洋伝奇の伝統だったのですね。ツェペリさんが謎を解き明かし、あとはクライマックスまで登りつづける!


 嗚呼、日々精進、日々悟り。


 だから! 田中先生はもっと纐纈城を面白くできた!

 悪口は後述。

2009-11-17

アミル

[][][][][]ズィルヴァニアファミリー物語~~田中芳樹『纐纈城奇譚』朝日文庫 (その2) 20:37 はてなブックマーク - ズィルヴァニアファミリー物語~~田中芳樹『纐纈城奇譚』朝日文庫 (その2) - 蜀犬 日に吠ゆ

 またまちがえて消してしまいました。

  1. 田中芳樹先生と相性が悪い?
    • 『黒竜譚異聞』もそうでしたからね。
  2. 人の悪口をいうものには報いがある?
    • なにしろ今回は不満点を書き連ねましたからね。
  3. そもそもブログに直接入力が時代遅れ?
    • エディタに書いて自動投稿……ハードルが高い。
    • はてなのツール「はまぞう」がいつもアクセス集中で使えない。これがやはりナローの限界かも。
纐纈城綺譚 (朝日文庫)

纐纈城綺譚 (朝日文庫)

2009-11-11

[][][][][]血を啜り、肉を喰らう~~田中芳樹『纐纈城奇譚』朝日文庫 (その1) 21:34 はてなブックマーク - 血を啜り、肉を喰らう~~田中芳樹『纐纈城奇譚』朝日文庫 (その1) - 蜀犬 日に吠ゆ

 文庫化ということで読みました。面白かった。

 面白かった、のですが、 不満も残りました。そう、わたしは欲張りなのです。饕餮なんです。

纐纈城綺譚 (朝日文庫)

纐纈城綺譚 (朝日文庫)

後記

纐纈城奇譚」は、素材が素材であるから、歴史小説ではなく時代小説に分類されるべき作品になったようである。ただ私には、過去の中国を舞台にしながら、歴史状況とはまったくかかわりなく、固有名詞さえ入れかえれば唐の長安も宋の開封も同じこと、というような作品は書けず、それなりの時代背景を設定する苦労を強いられた。

田中芳樹『纐纈城奇譚』朝日文庫

 大体わたしは田中芳樹先生のファンなのであろうか。「銀河英雄」なんちゃらは全く読んでいません。アルスラン年代記? は読みたいのですが売ってない。むかし『創竜伝』文庫版のやつ読んでいましたが、4巻か5巻か、そのくらいで飽きちゃったのですよね。中国ものにしても、ちょぼちょぼ。

 しかし、気になる作家さんではあるわけです。今回にしても、「纐纈城」を持ってくるあたりが私の興味関心にジャストミートですし。その期待の高さが、無い物ねだり的なイチャモンにつながるのでしょうか。

  1. 秋風ノ巻 p7
    • 揚州の武侠、棒使いの辛讜とその友達の李延枢が長安に来る。
    • 綵纈鋪(ごふくや)で安赤色の布を見つけ、露天の主を問いつめるが、逃げられる。
    • 勘違いをした李績と争いになるが和解し、辛讜は円仁から聞いた纐纈城の話を李績に語る。
    • 料理屋が襲撃される。
  2. 幻戯ノ巻 p42
    • 大唐十六大皇帝宣宗は、廷臣王式から纐纈城の報告を聞く。
    • 辛讜と李延枢は戯場の縄技に仕組まれた罠にはまる。
  3. 高楼ノ巻 p78
    • 纐纈城主が物語に登場する。
      • 早いよなあ。後述。
      • カリスマ! (なのか?)
    • 王式の細作(みってい)徐珍が纐纈一党の船から匣を盗みだし、辛讜たちと合流する。
    • 宣宗暗殺計画が始動。賊が聖輿を襲う。李績は賊を高楼に追い詰める。
  4. 残月ノ巻 p112
    • 辛讜たちが寄宿する王式の邸宅が纐纈一党に襲撃される。
      • 「よくよく放火が好きと見えるな。纐纈城の一党は」
    • 雑伎一座の女座長、宗緑雲が仲間に加わる。
    • 宣宗暗殺計画第二弾。毒茶の計。
    • 宦官、廷臣、大商人などが捕縛されて纐纈城の活動が明らかとなる。
  5. 白霧ノ巻 p149
    • 辛讜たちが纐纈城の場所を突き止めるため長安を出発。
      • ここで、「狩る者」と「狩られる者」が逆転する。
    • 王式は長安郊外の騎馬民族を遊軍として編成し、城攻めを準備する。
  6. 断影ノ巻 p179
    • 纐纈城潜入。
    • 纐纈城主と死闘。
      • 友情(義侠)、努力(不屈)、そして勝利。
  7. 余章