蜀犬 日に吠ゆ

2013-10-04

[][][]岡田英弘『日本史の誕生』ちくま文庫 22:31 はてなブックマーク - 岡田英弘『日本史の誕生』ちくま文庫 - 蜀犬 日に吠ゆ

 日本という地域が国家として意識されるようになったのは「白村江の戦い」の敗北から(大和の?)朝廷を防衛するためであったという話。

 白村江(663)の敗北の後、唐と新羅の連合軍を恐れた朝廷は近江にまで下がり(667)、壬申の乱(672)、飛鳥遷都(同前)、飛鳥浄御原令の制定(689)、大宝律令(701)と、急速に国家体制が整備され、その結果として東国から徴用した防人たちが筑紫に配置されて東国から九州までが「日本」であるという意識が強調されることとなります。

 このへん、もう少し学びたい。

日本史の誕生―千三百年前の外圧が日本を作った (ちくま文庫)

日本史の誕生―千三百年前の外圧が日本を作った (ちくま文庫)

2013-09-20

[][]長恨歌 17:10 はてなブックマーク - 長恨歌 - 蜀犬 日に吠ゆ

 ちょっと内容を勘違いしていました。『長生殿伝記』と混同しています。あと、『長恨歌伝』は知りません。

長恨歌  白居易

 元和元年(八〇六)、三十五歳の冬十二月、盩厔(ちゅうちつ)県(長安の西にある)の県尉たりし時の作。この年の四月、彼は第二位で制挙に合格していた。この詩の前に友人陳鴻(ちんこう)の長文の『長恨歌伝』を付す。これまた唐代小説中の傑作の一とされる。いうまでもなく玄宗と楊貴妃のロマンスを描いて情緒纏綿。永遠の愛にささげた悲歌。

漢皇重色思傾国 漢皇(かんのう) 色を重んじて傾国を思う、

御宇多年求不得 宇(あめがした)を御(しろしめ)すこと多年、求むれども得ず。

楊家有女初長成 楊家に女(むすめ)有り 初めて長成し、

養在深閨人未識 養われて深閨に在り 人未だ識らず。

天生麗質難自棄 天生の麗質 自(おのずか)ら棄て難く、

一朝選在君王側 一朝(いっちょう)選ばれて君王の側(かたわら)に在り。

回眸一笑百媚生 眸(ひとみ)を回(めぐ)らして一笑すれば百媚生じ、

六宮粉黛無顔色 六宮(りくきゅう)の粉黛(ふんたい) 顔色無し。

漢のみかどは大の色好みであらせられ、多年のご治世のあいだ絶世の美女をとさがし求めて来られたが、お気に召したのが得られなかった。

あたかもよし、楊という家に、年頃になったばかりの娘がいた。深窓のうちに育てられて、世間にはまだ知る人もなかったが、生まれながらの美貌がそのまま埋(うも)れてしまうはずはなく、ある日たちまち選ばれてみかどのお側に仕えることになった。彼女がふり返ってにっこり笑っただけで無限の媚(なま)めかしさが生れ、後宮の美女たちは、色を失ってしまうのであった。

(漢皇)漢の武帝。玄宗というべきをはばかったのである。(傾国)絶世の美人。(上巻一四八ページ参照)。(楊家有女)蜀州の司戸(戸籍を掌る小役人)楊玄琰の娘玉環。実は、はじめ玄宗の第十八子、寿王瑁(ぼう)の妃であったのを、玄宗が奪って自分の妃としたのであるが、これまたはばかってこのように修飾したもの。ちなみに、このとき玄宗五十六歳、楊貴妃二十二歳。(六宮)後宮には六つの宮殿があった。

松枝茂夫編『中国名詩選』下 岩波書店
中国名詩選〈下〉 (岩波文庫 赤 33-3)

中国名詩選〈下〉 (岩波文庫 赤 33-3)

2009-05-01

[][][]諸星大二郎『西遊妖猿伝』8 講談社 19:25 はてなブックマーク - 諸星大二郎『西遊妖猿伝』8 講談社 - 蜀犬 日に吠ゆ

 経を求めて玄奘が 天竺めざして今日も行く――

西遊妖猿伝 大唐篇(8) (KCデラックス モーニング)

西遊妖猿伝 大唐篇(8) (KCデラックス モーニング)

 羅刹女(初代)の必死さが涙を誘います。斉天大聖に振りまわされっぱなし。羅刹女そのものではなくて、一升金への愛が妄念となって死体を操っているだけの状態だから弱いのでしょうねえ。全力で(或いは全盛期で)あったならば、もうちっとこう粘れたのかもしれませんが、そんなことを言っていたらページが幾らあってもたらないので弱い方がいいです。

 当面の敵は蜥蜴蠱。

[][][]諸星大二郎『西遊妖猿伝』7 講談社 19:25 はてなブックマーク - 諸星大二郎『西遊妖猿伝』7 講談社 - 蜀犬 日に吠ゆ

西遊妖猿伝 大唐篇(7) (KCデラックス モーニング)

西遊妖猿伝 大唐篇(7) (KCデラックス モーニング)

 昔の記憶どおり、与世同君は相変わらず強い。ただ、車屋で騒動を起こしたとき、あんな風に笑わなくても…と思います。あのへんが、諸星先生の絵心なのでしょうか。

 一つの事件が終わらないうちからつぎつぎにもめ事が起こり、そもそも国法を犯して唐を脱出するんだと意気込んでもいまだに西域にたどりつくことさえできていないという壮大な物語ですからね。読んでいて人間関係や位置関係が分からない。与世同君とたたかいつつ黄袍の追撃から逃れつつ、唐と突厥の争いから逃げつつ、ですからね。

2009-04-06

[][][]諸星大二郎『西遊妖猿伝』大唐編 5 講談社 20:00 はてなブックマーク - 諸星大二郎『西遊妖猿伝』大唐編 5 講談社 - 蜀犬 日に吠ゆ

 全10巻という事で、一月2冊の刊行ペースなら5月末に完結?

西遊妖猿伝 大唐篇(5) (KCデラックス モーニング)

西遊妖猿伝 大唐篇(5) (KCデラックス モーニング)

[][][]諸星大二郎『西遊妖猿伝』大唐編 6 講談社 20:00 はてなブックマーク - 諸星大二郎『西遊妖猿伝』大唐編 6 講談社 - 蜀犬 日に吠ゆ

西遊妖猿伝 大唐篇(6) (KCデラックス モーニング)

西遊妖猿伝 大唐篇(6) (KCデラックス モーニング)

 河西回廊をさまよう。

2009-03-21

[][][]諸星大二郎『西遊妖猿伝』大唐編 3 講談社 17:11 はてなブックマーク - 諸星大二郎『西遊妖猿伝』大唐編 3 講談社 - 蜀犬 日に吠ゆ

 大唐編。金閣大王との因縁に決着を付けた後、天朝の求めに応じて王宮へ。弼馬温となるが、玄武門の変に乗じて秦王の命を奪おうとして失敗、運命のライバル哪吒太子と出会います。

西遊妖猿伝 大唐篇(3) (KCデラックス モーニング)

西遊妖猿伝 大唐篇(3) (KCデラックス モーニング)

[][][]諸星大二郎『西遊妖猿伝』大唐編 4 講談社 17:12 はてなブックマーク - 諸星大二郎『西遊妖猿伝』大唐編 4 講談社 - 蜀犬 日に吠ゆ

 斉天大聖は突厥が唐に進軍してきた混乱に乗じて長安を脱出。盤糸嶺に身を寄せます。

西遊妖猿伝 大唐篇(4) (KCデラックス モーニング)

西遊妖猿伝 大唐篇(4) (KCデラックス モーニング)

2009-01-24

竜児女

[][][]斉天~~諸星大二郎『西遊妖猿伝』1 2 講談社 20:25 はてなブックマーク - 斉天~~諸星大二郎『西遊妖猿伝』1 2 講談社 - 蜀犬 日に吠ゆ

 斉天という言葉。それをどのように考えるのか。ジャンプ脳であれば天のいかなる神々よりも強いということになるのかも知れませんが、諸星先生はそれを、「民衆の恨み、怒り」であるとしました。ご都合主義な人権ゴロの常套句なのかどうか、完結まで目が離せません。ですからどうか完結してください。


 今春にはいよいよ西域編の単行本が出るようですが、それにあわせて既刊の大唐編が講談社から発行されました。ペーパーバック的な印象を与える、おそらくA5サイズ。

西遊妖猿伝 大唐篇(1) (KCデラックス モーニング)

西遊妖猿伝 大唐篇(1) (KCデラックス モーニング)

 悟空誕生から竜児女との出会いまでを記録した1巻。

西遊妖猿伝 大唐篇(2) (KCデラックス モーニング)

西遊妖猿伝 大唐篇(2) (KCデラックス モーニング)

 金角大王との因縁をめぐる2巻。


 前にもどこかでいったような気もしますが、孫悟空の強さは並ではないですね。剣を振るえば鎧ごと斬りますし、繋がれて引きずられても馬二頭を引き戻す(二馬力以上!)。跳躍力も2メートルは軽く超えます。地球を壊せる力をもちがちな最近の漫画シーンで、この絶妙な最強ぶりは諸星先生ならではです。


 竜児女はかあいそうですよね。なんにも悪くないのに、「女であること」によってハンディを負わされて、それを乗り越えるために自分の命を賭けなければなかったのですから。

 ただこれは、悟空が地煞から天罡になるように、法華経が「変成男子」というように、仏教のもつ男尊女卑思想がもたらす弊害なので諸星先生の語りになんらけちをつけるものではございません。むしろ竜児女が自分の思いをとげてハッピィエンドになるということは、ないのが普通なのですから。

 しかし、そう思うと、仏教は邪教ですよねえ(もちろんキリスト教やイスラームはそれ以上にでたらめですが。)。